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煙香(えんこう)30×22.5cm

 煙草のパケージのSCRAPBOOKです。年代がはっきりしないものもありますが、昭和30年代の

ものが多いようです。一般的には絵本とは呼ばないと思いますが、このコーナーでは美しい絵のある

本は、広い意味で「絵本」の仲間として紹介したいと思います。もう一つこれを絵本のコーナーで

紹介するわけは、単なるSCRAPBOOKではなく、煙草を吸っていたときのエピソードや所感などが、

実に風情のあることばで書かれた、詩画集のような作品だからです。

作者がどんな方であったか定かではありませんが、そうとうな通人だったに違いありません。

大連、関口、奉天、満州など、当時の中国の煙草のパッケージもあり、めまいがするほどの

タイムトリップ感覚とDEEPな旅愁が感じられます。

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茶色いページに万年筆で、ゆるゆるとしたくずし字で書かれています。

音楽にたとえたら、”枯れまくった 旅愁 Acid Folk”といったところでしょうか。

パッケージの貼ってあるページは43ページ、パッケージは全部で73枚あります。

大連の

大和ホテルの一室で○○○○と将棋をさして

いたら煙草がなくなって終った。

「オイ煙草がないよ」と言ったら 女の子を呼んで

持ってこさせた。

アイスクリームがとてもうまかった

イギリスが支那むきにつくった タバコ

姑娘がすきな

タバコ

ニッポンの”バット” 

シナのアヘンがはいっている タバコ

いちばん 安くて

いちばん うまい

 

日本のえんにちのような

ところで売っていた

東亜煙草

うまくない

なつかしい あの日の

リリーが くれた

あの日の タバコ

紫に消えていった

あの日の煙

「CAMEL」以外の駱駝や椰子の木が描かれたパッケージもあり、中国経由での

はるかな西アジアへのあこがれのような思いが感じられます。

朝鮮での日本のたばこ

急行列車に コンナ

名があったっけ

満州たばこ

ちっとも こまやかな

味のない

さびしい

タバコ

支那のタバコ

支那料亭で いつも タバコと云えば

持ってくるタバコ

白い 白い 白い 白い 白い

ネヴイカツトの想い出に 今日もさびしい マドロスが

港の酒場でふかしてる その紫の は か な さ よ

「白い 白い…」これは一つのすばらしい詩です。詩歌を解する方であればおわかりかと思います。

ピース ピース ピース ひばりの鳴いているような


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