坂道のある街が好きだ。

日の光に色褪せた壁と、ベランダと、窓辺の花が好きだ。　　　　　　　　　　　　　　絵　Ken-ichi

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　ヴェリコ・タルノヴォは、バルカン山脈の東端に位置する人口７万人ほどの地方都市で、

１２世紀末から14世紀末には第二次ブルガリア帝国の首都として栄えた古都です。

蛇行するヤントラ川に挟まれた起伏の多い所なので、歩くたびに眺めが変わり、

いろいろな街の表情を見ることができます。

断崖の上の街の眺めや、チャルシャ（職人街）などが有名ですが、わたしはそれ以外にも、

街の人たちが普通に暮らしている、いいかんじに古い街並みがとても好きになりました。

Gurko通りにて

　上のスケッチはヤントラ川の岸に沿ったグルコ通りの坂道に面した家並みを描いたものです。

絵を描いていると近所の子どもたちが集まってきました。

「カーズヴァム セ ケン.　カク セ カーズヴァテ」（ぼくはKen、あなたの名前は？）

…とカタコトブルガリア語で話しました。ぼくが持っている語学本を見せると大喜びで、

キャッキャと騒ぎながら「オーナーマエハ、ナントー、オッシャイマスカ？」「オイシイ、デスネー」

と、いろんなフレーズを一生懸命読んで、僕に読み方がちがっていないか確認している。

絵がだんだん出来てくると「この絵は、とってもすてきで、とってもいいわ！」

「あの青い家はヴィリのお家、隣はエミーの家、赤い車はエミーのお父さんの車よ」と喜んでくれた。

それから、ヴィリという10才くらいの女の子が、切実そうな表情で「モージェテ リ…」（…してくれませんか？）

と何回も言うので、よく聞いてみるとぼくの後の方を指さし「コン」（馬）を描いてほしいのだという。

彼女たちの遊び場は見晴らしのよい高台にあり、深い谷をへだてて300〜400ｍも離れた

丘の上に騎馬像のモニュメントが見えた。ノートにささっとその馬の像を描いてみせると、

「上手！すばらしいわ！」と、またも大喜び。

そんなことをしているうちに夕方になった。６時半に、旅行中に会ったニーナ、ミケル、K泉さんと夕食に

行く約束をしているので、まだ絵が完成していなかったが行かなくてはならない。

「セガ　オッティーヴァム」（もう行きます…めちゃくちゃなブルガリア語かもしれません）と言うと、

ちょっとさみしそう。「明日も来る？」と言う。「ダー」（うん、また来るよ）というと、みんなヤッター！と、

飛び跳ねて喜んでいた。ほんとうにかわいい子たちです。

切り立った断崖の上の街

メイン・ストリート、ステファン・スタンボロフ通り（Stephan Stambolov St.）

この写真では分かりにくいのですが、実際はもう少し都会的でにぎやかな通りです。

街にはトロリーバスが走っています。

ボロくて可愛いデザインの自動車がたくさん走っていたので、うれしかったです。

タルノヴォの「階段式住居」

傾斜地に建っているため、片側が一階建てで反対側にまわると３階建て、というような家もあります。

「三角州型住居」道の流れに沿って造られている。

レンガを互い違いに組んだベランダや、半分の長さのカーテンがかわいい。

玄関先でピーマンを焼いているおじさんがいました。

ブルガリアではピーマンを焼いて食べます。

Gurko通りにて

アセノヴァ地区(asenova　mahal)の夕暮れ

教会の前で会った女の子たち。青いくるみを割って食べていました。

「くるみ割り人形」

すごくかわいい男の子でした！

イヴェットとアレクサンダー

夕立の前（アセノヴァ地区）　

川縁の大きな木がゆっくりと風に揺れていました。聖ディミタル教会は、

グルジア正教の教会建築に似ていたのでなつかしかったです。