天使の世界 5. HOME １ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ 10 11
さて、いよいよシュタイナーの著作のなかで述べれている天使の世界について紹介していきたいと思います。 シュタイナーは、天使論についての独立した著作はのこしていませんが、様々な位階の天使や妖精（グノーム、
ウンディーネ、シルフ、サラマンダーと呼ばれる「四大霊」）について講演や著作の随所でふれています。
前述のように、シュタイナーは天使の位階と名称については、
偽ディオニシウス・アレオパギタによる同じ９つの位階と名称をそのまま受け継いでいます。
大天使が下から２つ目の位階に属していると聞いて、「なんだ、そんなに偉くないんですか？」 と言った方もいたのですが、やはり非常に崇高な存在のようです。
中位三隊のなかの形態霊になると、旧約聖書に登場する「主なる神」ヤハウェがこの位階に属する
といいますから、もう神とも呼べるほど高次の存在です。 このシュタイナーの見解は
ヤハウェを父なる神とする、一般のキリスト教の信者の方には認め難いかもしれません。
ただ彼は、「父」が中三隊の天使であると言っているわけではありません。
世界の創造は、「至高の宇宙叡智」の計画に従って行われましたが、この「至高の宇宙叡智」は、
すべての天使の位階を超えた「父・子・聖霊」の「三位一体」であるとシュタイナーは述べています。
そして、世界の創造に実際に創造にたずさわったのは天使たちであり、この宇宙は想像を絶する
ような長い時間のなかで天使たちによって、様々な段階を経て形成され、創造されてきたということです。
天使たちの働きとしては、惑星、動植物、人間など世界の創造、惑星の運行、動植物の進化、天候、人間の
肉体機能の維持、人間の地上での行いに従ってカルマを形成する働き、人間の進化、向上を導く働き、
時代や文化にインスピレーションを与え、導く働きなどがあります。
天使たちは、彼らなしには人間は存在することもできなかったし、生存を続けることさえできないというほど
人間にとっても、世界にとっても重要な働きをしていると考えられるのです。
シュタイナーの天使論は、哲学的で、ある意味難解かもしれません。絵画に描かれているような、羽のある
人の姿をした優美な天使、というイメージとは違う部分もあるかもしれません。しかしこの天使論に取り組む
ことは、人間や世界の本質について考える上でとても有意義であると、わたしは思っています。
天使は、おとぎ話や絵本やクリスマスカード（わたしはこれも好きですが）のなかだけの存在ではなく
それついて真剣に考える価値がある存在なのではないかと思うのです。
※なお、以下の文中の「〜とのことです。」と書いている部分も「〜です。」と書いている部分も、
わたし自身の見解ではなく、シュタイナーの見解をわたしが理解できた範囲で書いたものです。ご了解ください。
下級三隊（第三ヒエラルキア）の天使たち 天使（アンゲロイ）、大天使（アルヒアンゲロイ）、権天使（アルヒャイ）
・下位三隊の天使には、人間一人一人を守護し導く天使、民族霊と言われる大天使、時代霊と言われる権天使がいます。
「第１のヒエラルキア（ここでは下級三隊の天使たちのこと）は、存在の内面で活動しつつ、地球上空の働きのなかに
織り込まれています。第１のヒエラルキアには、まず時代霊として活動するアルヒャイが属してます。時代霊たちは、
高次のヒエラルキアによって用意されたもののなかで活動します。そして人間の歴史、地上の文化の進歩を引き起こし
ます。そして、周囲に大天使、種族の霊たち（大天使のこと）がおり、個人と大天使の仲介者である天使がいます。」
（民族魂の使命 ＊括弧内は引用者による）
・「思考の背後にあるすべてのものに関しては、人間は第三ヒエラルキーで満たされている。」（宇宙のカルマ）
人間の思考の背後、思考の奥底の無意識の部分では、第３ヒエラルキアの天使たちが活動しており、
そこでは人間は、第３ヒエラルキアの天使たちの人生を共に生きています。
…この部分は、神秘思想になじみのない方には理解が難しいと思われるので、少し補足します。
この考察の背景には、シュタイナー独特の人間観があります。彼は、人が日常経験する思考、感情、
意志は、いわば氷山の一角のようなもので、その根っこには普段意識されない膨大な宇宙的叡智が
隠されている、と考えていました。また、高次の世界の認識を得るための行法にも、思考、感情、意志を
特定の方法によって鍛錬するというものがあります。一般にはごくありふれた心的能力であるように思われ
ている思考、感情、意志は高次の世界の入り口でもあるのです。
「私たちは、本来ヒエラルキー存在（様々な位階の天使）たちの真っ只中にすんでおり、
感覚器官や悟性を用いることによってのみ、ヒエラルキー存在（天使）たちの世界から上にそびえ立つ
ことになるわけです。人間としての私たちとは、実際のところ、水の上を泳ぎながら上の方で
ほんの少しだけ頭を水の外に突き出しているような存在なのです。私たちは感覚や悟性
を用いることで、ヒエラルキー存在（天使たち）の海から外に突出します」
（宇宙のカルマ）
下位三隊の天使たちとカルマ
・人が地上に誕生するまえの最後の期間に、その人が前世から携えてきた‘人生の果実’に応じて、人間と
下位三隊天使たちの一種の共同作業によって宇宙のエーテル体から人間のエーテル体が形成され、来世での
健康状態、体質、気質、容姿などが決まってきます。健康状態や気質等によって人間の運命が大きく左右される
ことを考えると、下位三隊の天使たちは、健康、不快感、気質などの面で人間のカルマを形成すると言えます。
・主として人間が生まれてから21才までの期間に、人間の魂的、霊的な部分に働きかけます。そして魂的、霊的なもの
の中から有機体（主として人間の頭部に含まれている神経、感覚系統）を形成するように働きかけます。（宇宙のカルマ・第二講）
・人間が生まれてから21才までの間に、「頭部のシステム」に、カルマの「要請」が書き込まれます。
下級三隊の天使たちから分離、派生した存在
・下級三隊の天使たちから分離して自然界に下った存在として、土の精、水の精、風の精（四大霊のうちの三つ）
が存在します。
天使 アンゲロイ（Angeloi）
・シュタイナーは「薄明の霊」、「生命の子」とも呼んでいます。
・天使たちは人間の喜びや苦しみのすべてを完全に理解し、ひとりひとりの人間の個性をある転生から
ある転生へと導き、見守る存在です。
・シュタイナーによれば、人間がこの人生で行わなくてはいけない仕事の一つは
低次の欲望や衝動を支配し、魂（アストラル体）を浄化し、自分を進化させていくことだそうですが、
天使は人間が行うこの仕事を指導する存在です。
・大天使と人間の間の仲介者となっていて、大天使の意志をひとりひとりの人間に伝える役割を持っています。
・地球を中心として、月までをその支配領域としています。
・天使は、地上においては、水、雲や霧、風、稲妻を物質的身体とし、それらのものを通して顕現します。
「天使の本性を知ろうと思うなら、これら高次の部分（自我〜）が、地上に存在している部分から
切り離されて、いわば上なる霊界（精神界）の中を浮遊している、と考えなければなりません。（中略）私たちが誰か
人に出会うときには、その人が自分の中で肉体、エーテル体、アストラル体などのすべてをお互いに有機的に
結び合わせているのを見てとることができます。しかし天使に出会ったとしたら、その天使の肉体部分は、
霊的（精神的）存在の単なる鏡像でしかないのです。（中略）流れる水の中、雲や霧の中、風の中、
空気を切り裂く稲妻の中に、天使の肉体が見いだせるはずなのですが、見出すことが困難なのは、
天使の身体ははっきりと輪郭づけられている、と思いこんでるからです。立ち昇る霧の前に立ち、噴出する
泉の前に立ち、吹きすさぶ風や雲間から発する稲光の前に立つとき、それが天使の顕現であると思うのは、
とても困難なことです。けれども、はっきりと輪郭づけられないこのような天使の肉体の背後には、天使の霊的
（精神的）存在が働いているのです。」 （霊的宇宙論・第七講）
4.自我
3.アストラル体
2.エーテル体
1.物質的身体（肉体）
5.「精神的自己」 4.自我
＊
3.アストラル体
2.エーテル体
1.物質的身体
（水、風、雲、霧、稲妻）6.「生命的精神」 5.「精神的自己」
4.自我
3.アストラル体
＊
2.エーテル体
1.物質的身体（風と火）
7.「精神的人間」 6.「生命的精神」
5.「精神的自己」
4.自我
3.アストラル体
2.エーテル体
＊
1.物質的身体（火炎）
人間 （「精神的人間」「生命的精神」
「精神的自己」は萌芽としてのみ
有している。）
天使 （「精神的自己」までを育成し終えている。
自我とアストラル体は切り離
されて存在している）
大天使 （アストラル体とエーテル体の
間が分離した状態）
権天使 （エーテル体と物質的身体の
間が分離した状態）
地上を造り変えるという仕事
・シュタイナーによれば、人間は死後精神界において、様々な位階の天使たちとともに、地球の外観を
造り変えるという仕事に従事しているそうです。これには、人間が新たに受肉するときに以前とはまったく
様相の異なった地上の環境で生きることによって、そこでいつも何か新しいことを体験するという意味が
あります。そのさい天使（アンゲロイ）たちは精神界の人間とともに地上の植物を作り変える仕事に
従事しています。
「固い地殻を構成する鉱物には、天使たちは関与することが出来ません。天使たちの意識は地上の
鉱物の領域までは降りて来られないからです。けれども天使たちの意識は、地球が担っている、
植物の領域までは降りてきます。そこで天使たちは、植物を創造することはできないとしても、
少なくとも植物の世界を造り変えることはできるのです。」
（天使と人間）
睡眠中の人間と天使
・シュタイナーによると、睡眠中の人間は、天使たちと出会っているそうです。そのとき天使とよい出会いが
できるかどうかは、起きているとき人間がどんなことを考えていたか、どんな感情をもっていたかと
いうことに左右されるということです。
「思考が完全に物質界に埋没していて、一度も物質界を越えて高まろうとは思わない人、
単なる有用性を越えた道徳的理想を知ろうとしない人、本当の人間愛を体験しようとしない人、
起きているときに、神的、霊的な世界に敬虔に帰依することを知らない人がいます。
彼らには眠るとき、守護天使に正しく触れるための力が残っていません。私たちが感受した理想、
思考した理想を、どれほど多く眠りの中にもたらすかを天使は待っています。
眠りのなかにもたらす理想が多くなればなるほど、私たちが眠っているあいだ、守護天使との
関係は密接なものとなります。私たちは物質的な興味を越えたものを自分のなかに作り上げます。
そのようにして作り上げられるものを、私たちは起きているあいだ、一生に渡って集めます。
守護天使との関係を親密にするものを私たちは集めるのです。」
「私たちが人生の中で有用性について考えたこと、感覚界について考えたこと、物質との結びつき
において考えたことは、私たちが死の扉を通過するとき、私たちから離れていきます。
理想的な思考、理想的な感受、純粋な人間愛、正しい意味での宗教的な敬虔さとして、
私たちが起きているときに構築し、守護天使と結合したもののみを、私たちは死の扉の
彼方の世界に持っていきます。」
（天使と人間、第３章）
このようにして人が理想主義的な体験から天使存在に多くのものをもたらすと、天使は、大天使や
権天使、それよりさらに高次の天使たちとつながりを持つことになり、それらの高次の位階の天使たち
が、その人間の意識の中に物質界における目や耳に相当するものを発展させることになります。
それによって、人間は死後明るい意識を持ち、高次の位階の天使たちを意識しながら霊界の中を
歩んでいくことが可能になるのです。
＊ ＊ ＊
このようなことを考えると、天使学は単なる知的興味を満足させるためのものではなく、
生きることと直接関わってくることがわかります。昼間目覚めてるときに、天使との、はっきりそれと
わかるような出会いを経験することはあまりないかも知れません。しかし日頃どのような感情、どのような
考えを持って生きているかによって、天使との関係が良いものになったり、ならなかったりするならば、
また、自分や他者の運命に対して創造的な、あるいは破壊的な作用が及ぶならば、
人間がどんなことを考え、どんな感情をもつかということは、普通考えられているよりもはるかに
重要な意味をもつことになるのです。
「現代という、人類史の一時期における私たちの喜び、楽しみは、物質界を生きる私たちの霊魂を堕落させてしまいかねません。この時代の喜びと満足は動物的とは言わないまでも、非人間的な性格を
持つ傾向にあるからです。そのような喜びを体験した私たちが死後、霊界（精神界）へ参入しますと、
そこではじめて出会う霊界の存在者たち（天使たちのことか？）に私たちは無限の苦しみを与えるのです。
その苦しみは、その様子を見るだけで茫然自失の状態をもたらすほどのものです。私たちの魂はその影響を
受けて、来世のための条件を調和的に調えることができなくなってしまいます。」
（「死後の生活」 括弧内は引用者による）
大天使 アルヒアンゲロイ（Archangeloi）
・アルヒャイ（権天使）のアンゲロイ（使い）という意味。シュタイナーは火の神霊とも呼んでいます。
・地球を中心として水星（今日の金星）の軌道内をその支配領域としています。
・大天使は、民族霊として活動することがあり、その民族独特の生活、特性、活動に影響をあたえます。
・大地の様相の中に受肉し、その土地の「エーテルオーラ」に働きかけ、そこに住む人間の気質に影響を与えます。
・成長期にある力に満ちた民族があるときに、その民族にくだり、その民族を指導します。
大天使は民族の盛衰を自分の青年期と老年期のように感じます。
ただ、国粋主義に導くのは進化から逸脱した大天使だそうです。
・個々の人間の生活は、大天使からはかなり隔たっていて、大天使の意志、理念を一人一人の人間に伝えることは、
その人間の守護天使が行います。
大天使の身体
・人間が最下位の構成要素として物質的身体を持っているように、大天使は最下位の構成要素としてアストラル体
を持っています。地上においては風と火を通して顕現します。
「大天使はもっとも低次の部分である肉体とエーテル体とを切り離して、それより高次の存在部分をすべて、
上なる高次の世界に存在させています。」（霊的宇宙論・第七講）
大天使の知覚領域について
・大天使たちは人間が感官によって知覚している物質的世界をまったく知覚しないそうです。
では、大天使たちがどんな世界を見ているかというと、人間にとっての外界を知覚するのではなく、
いわば「イデア」の世界を知覚しています。人間に関して言えば、人間がこころ（「悟性魂」・「意識魂」）
にいだいている道徳的理想、芸術上の理想、建築の様式上の理想など人間の内面のいとなみ
の一部が大天使にとっての知覚領域となっています。
「大天使は、内的な活気を吹き込まれた、豊かな心の内容を持つ人間たちに出会います。それらの
人間たちは大天使に強い印象を与えます。ほかの人間は怠情で無気力のように大天使には思われます。
それらが人間の心魂の世界像にとっての暑さ、寒さに相当します。」 （民族魂の使命）
大天使と動物
・大天使たちの意識にとって、植物は存在しないに等しく、動物の世界までを認識し、動物のアストラル体
に働きかけています。
「大天使にとって植物は存在しないに等しいのです。植物界は大天使にとってあまりにも下の方に存在
するために、ほとんど取るに足らないものになっています。動物の世界に、ようやく大天使は手がかりを
見出します。大天使は動物界を知覚することができるのです。」
「諸民族はさまざまな場所に住んでいました。諸民族は住んでいる地域にあわせて、さまざまな動物を
生活のために利用しなくてはなりませんでした。そして、このような動物が、民族霊（大天使）によって
与えられたものであることを、諸民族は敏感に感じ取っていたのです。（中略）だからこそエジプト人は
動物たちを自分たちのところに導いてくれる力を聖なる力と見なしたのです。そして動物たちとの接し方が、
このような意識の表現になっていたのです。（中略）エジプトの偶像の多くは『民族を導く霊である大天使は
動物界まで降りてくる』という考えに基づいて作られています。」
（天使と人間）
人間の言語と大天使
・人間は睡眠中に大天使と出会います。よい出会いができるかどうかは人間が日中にどんな
言葉を話していたか、ということに左右されます。 人間が理想主義的な言葉を多くはなすとき、
人間は睡眠中にその言葉の余韻を通して大天使と親密な関わりを持つことになります。
人間が唯物論に陥り、わずかしか理想を語らないようになると、人間は毎夜大天使との
つながりを逃すことになります。 （天使と人間）
「人間は物質的な地上生活において、呼吸つまり酸素を頼りとし、酸素をありがたいものと感じています。
同様に地球の内部と結びついている大天使は、睡眠中の人間の心魂が、言語の余韻をもたらすことを
必要と感じています。（中略）大天使は民族の言語を導く存在、民族の言語の守護神です。人間が睡眠中に
もたらす言語の余韻を大天使は吸い込みます。（中略）人間が眠りのなかに、言語によって正しいものを
もたらさないと、ただちに、人間が大天使に差し出すものが足りなくなります。そのようなことが、特に現代文化
のなかに観察できます。現代文化のなかには、理想主義といわれるものが、わずかしかありません。
人間の言語は、単に外的・物質的な事物を意味するものになっていきました。理想は精神的なものですから、
理想を表現するには、人間が精神的なものを信じていることが前提になります。」
（天使たち、妖精たち）
大天使と天体
・大天使はそれぞれ天体との関係を有しています。
オリフィエル―土星
ミカエル―太陽 人間を集団的なあり方から自由な個人に、集団的な無意識から意識的な個人へ導こうとします。
人間を民族主義からコスモポリタン（国際主義）に導きます。
ガブリエル―月 聖母マリアに受胎告知をしたのは、この天使です。
人間の誕生に深く関わり、民族、家族という集団に人間を導き入れる働きをします。
子どもが誕生するとき、母親にその子の名前についてインスピレーションを送ります。
クリスマスの誕生の喜び、家族の幸せがガブリエルの雰囲気です。
サマエル―火星
ラファエル―水星
ザカリエル―木星
アナエル―金星
ファヌエル・・・秘儀参入者を守護する存在
スラキエル・・・都市や地域全体にはびこる不道徳的なものを根絶し、それを道徳的なものに
造り変えるという使命を担っている。
大天使と四季の関係 （四季の宇宙的イマジネーションより）
ラファエル―春 呼吸に働きかけ 治癒力を与える
ウリエル―夏 思考に働きかける
ミカエル―秋 意志を鼓舞する
ガブリエル―冬 新陳代謝組織に働きかけ、滋養を与える
ミカエル
・秋、ミカエル祭のころになると、龍と闘うミカエルの姿が壮大なイマジネーションとして現れてきます。
このミカエルの姿は、自己意識によって自然意識を克服し、安楽や不安にうち勝つ内的主導権や、
自由で勇ましく強い意志力を持つよう人間を鼓舞します。
ミカエルの持つ剣は霊的に見ると、治癒力を持った宇宙的な鉄（隕石）できており、人間の血中の鉄と関係があります。
「人間の血液は鉄分によって霊的魂的な刺激を受けます。血液中の鉄分が不安、恐怖、憎しみと戦うのです」
ラファエル
「再び春になります。上方にはヘルメスの杖を持った、沈思するような眼差しのラファエルが現れます。
けれども、いまや、ラファエルは空中で、光り輝く蛇のようになります。もはや地上に依ることなく、空気の力
を使って宇宙のなかの火、水、土に存在するものすべてを混合し、協力させて、宇宙の中で働き、活動する
治癒力へと変化させます」 （四季の宇宙的イマジネーション）
・秋、大天使ミカエルが上空にいる間、ラファエルは人間の呼吸体系全体を整え、祝福し、働きます。
ガブリエル
「冬になります、ガブリエルが宇宙的な天使です。やさしく愛情のこもったまなざしで、祝福するような身振りの
ガブリエルが上方で冬の雪のなか、白い布帛のなかで活動します。」
・ガブリエルは宇宙から滋養を受け取り、その力を夏に人間のなかに注ぎ込みます。この滋養力は人間の
新陳代謝組織のなかで活動します。
ウリエル
「ウリエルの知性は太陽系の諸惑星の力の混合から構成され、黄道十二宮の恒星の働きに支えられています。
ウリエルは自分の思考のなかに宇宙思考を包含します。」
・ウリエルは、夏空の上方で、黄金色に光り輝く宇宙知性の中で活動しています。厳しい真剣な眼差しをし、
翼のような腕、あるいは腕のような翼を持ち、判定を下すような身振りをしています。ウリエルは人間の誤りを見きわめ、
徳を成就させようとします。また、雲、雨、稲妻、雷、植物の生長などの自然の諸力の中に働きかけます。
・冬にウリエルは地球の反対側から地球を貫いて人間の頭の中に働きかけます。その力は人間の頭の中に
宇宙の模造を生じさせ、人間を叡智の所有者にし、「全宇宙の市民」にします。
・ちなみに旧約聖書外典「エズラ記」第２章では、ウリエルは、預言者エズラのさまざまな深刻な問いに答える天使
として登場しています。
受肉する人間の魂と大天使
「十二月から春のはじまりまでの、ガブリエルが宇宙的大天使として上空にあり、ウリエルが人間の側にいて、
頭に宇宙の諸力を注ぎ込んでいる間だけ、地上の生へと向かう魂のために扉が開かれます。毎年、この三ヶ月間に
その一年に受肉する魂が宇宙から地球に降りてくるのです」（四季の宇宙的イマジネーション）
＊ ＊ ＊
同じ位階に存在する、「進化から逸脱した霊」
言語の霊
・本来は形態霊（能天使）になるはずだったのですが進化から逸脱して大天使段階にいる霊（言語の霊）と、
正常な大天使の共同によって言語が発生しました。
・「大天使の段階にありながら、（喉頭、言語器官の）物質形態のなかまで働きかけることができる存在が
いるのです。それらの霊的（精神的）存在は、民族霊（大天使）たちが活動する領域で、民族霊（大天使）たちと争い、
これらの霊的存在が両面から衝突することによって生じる第一のものが言語です。」「言語と結びついた民族の心情、
民族の気質を、この（言語の霊と大天使の）共同の成果と見なければなりません」
「まったくべつの見方に、わたしたちは慣れなければなりません。人間は、自分自身の概念を世界全体に
適用することに慣れています。進化から取り残された高次の存在を、落第した女子学生のように見なすなら、
たいへんな誤りを犯していることになります。彼らは学ばなかったので進化から取り残されたのではありません。
宇宙を司っている偉大な叡智によって、彼らは進化から遅れたのです。もし、なんらかの存在が通常の進化を
断念せず、太陽に行くかわりに地上でさらなる進化を遂げなければ、地上に言語は発生しなかったでしょう。
人間はある言語を心から愛します。愛ゆえに高次の存在がみずからの特性を断念して進化から遅れたために、
人間は進化して、叡智を獲得することができるようになったのです。先に立つことが一種の犠牲行為であるように、
以前の進化段階にとどまることも犠牲行為だと見なさなければなりません。」 （民族魂の使命）
・本来は権天使（アルヒャイ）や大天使になるはずだったのですが、「月進化期」に
進化から逸脱して、現在は天使・大天使の位階にいる存在で、人間の内側から、感情、衝動に
働きかけます。ルシファーは人間を現実から遊離させ、美的な幻想に誘い込む存在です。また、
官能的なものに誘惑する存在でもあります。
ただし、ルシファー的な存在はキュリオテテス（主天使）の位階まで存在するということです。
権天使 アルヒャイ（Archai）
・シュタイナーは「人格霊」「時代霊」「根源」または「原初」とも呼んでます。
・地球を中心として、水星（古来神秘学では金星と呼ばれていた）の軌道内を支配領域とします。
・人間の進化に影響をあたえるような発明を生みだすための直感をあたえたり、その時代に必要な人間の魂を
特定の場所、時代に受肉させたりして、人間の歴史、文化の進歩を引き起こします。
・社会秩序や、国家の建設や、学問の基礎作りや農地での耕作などの文化の歩みは― そこには人間の中から
生じるすべてのものが含まれます―、初めから終わりまで「根源の力たち」（権天使）によって導かれます。
（天使と人間）
・火や稲妻を物質的身体とします。
睡眠中の人間と権天使
・睡眠中に人間の自我は権天使と出会います。
権天使と正しく関わり合うために必要なのは「現実のものとしての、真性の、真実の人類愛」であり、
睡眠中に権天使との関わりのなかで、人間の自我は起きている間に自分手や足を使って行った行為にたいして
一種の反省を行うそうです。そして「権天使の内奥で休らいでいるあいだに」カルマ（運命）が形成されます。
（天使と人間）
・権天使によって、人間が来世で新たな地上での生活に足を踏み入れるときに、物質的な肉体に正しく浸透し、
肉体を支配するための力が与えられます。手足の這っていた幼児が立ち上がってバランスをとることを
懸命に覚えようとする行為のなかにその力がよく表れているそうです。
直立し、歩行するための力、手足を分離独立させて動かすことや、バランスをとることを可能にする力、
肉体的な衝動を支配して理想を実行に移する力もそこに含まれます。その力が充分与えられるか否かは、
人間が前世において「人類愛」に基づいた行動をどれだけ行ったかということに左右されるというのです。
・土星進化期に智天使に対する座天使の供犠を通して権天使が発生し、人間段階（ある意味で現在の人間と
同じ意識段階）を通過しました。
・権天使は、土星進化期に「父なる神」に導かれて、人間（現在の人間の祖先にあたる）の物質的身体に自我の
担い手となる能力を与えました。
・自分の中にアルヒャイを担い、肉体に至るまでアルヒャイの魂を吹き込まれている人々は
東方の教えでは「法身仏」（ディヤーニ・ブッダ）と呼ばれています。
権天使から派生した存在
・アルカイから分離したのが土の精（グノーム）です。
権天使の位階にいる、「進化から逸脱した霊」
思考の霊
・本来は能天使になるはずだったのですが、月時代に進化から逸脱して権天使の段階にとどまった
霊が、人間の内面に働きかけ、その時代の思考方法、一定の概念形成をもたらすそうです。
この存在は「思考の霊」とも呼ばれています。
サタン
・サタンは、本来は能天使（エクスシアイ）になるはずだったのですが、「太陽期」に進化から逸脱して
現在は権天使（アルヒャイ）の位階にとどまっている存在です。アーリマンは人間を物質に凝り固ま
らさせて、精神的なものを否定させる存在で、外界を単なる物質的なものだと考えるようにさせます。
パウロと天使たち 権天使（アルヒャイ）、エクスシアイ（能天使）、デュナメイス（力天使）は英語読みではそれぞれPrincipalities、
Powers、Virtuesといい、普通名詞のような呼び方がされています。
新約聖書のパウロの書簡には、これらの言葉が出てきて、ふつうは普通名詞として訳されていますが、
ほんとうは天使存在のことを指しているとシュタイナーは述べてます。それによれば
「天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位も主権も、支配も権威も、
万物は御子（キリスト）を通して、キリストに向けて造られたのである」（コロサイ人への手紙）は、
「天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、座天使も、主天使も、能天使も、権天使も、
万物は御子（キリスト）を通して、キリストに向けて造られたのである」と訳すことができます。
パウロは、はじめ熱心なパリサイ派としてクリスチャンを迫害しましたが、のちに決定的な回心を経験し、
初期キリスト教伝道者として大きな働きをした方です。なお、アレオパゴスの議員ディオニシウスは
パウロの弟子でした。