……地球のいたるところにいる根の精霊たちは、多少なりとも透明な岩石や、金属に貫かれた鉱石

のなかにいることを好みます。そこが彼らの本拠地です。鉱物を植物の根元へと仲介するとき、

彼等は最も居心地よく感じます。根の精霊たちは、内的に、霊的なものに満たされています。

これは、人間の目のなかの霊的なもの、人間の耳のなかの霊的なものにのみ比較できる状態

です。というのは、根の精霊たちの霊性は、まったく「感覚」だからです。

彼らは、まったく感覚から成り立っています。彼らは、まったく感覚なのです。その感覚は同時に

悟性でもあります。単に見たり聞いたりするだけではありません。見たり聞いたりするときに、

見たもの聞いたものを理解するのです。いたるところで、単に印象を受け取るのではなく、

いたるところで理念を受け取ります。

根の精霊たちが、どのように理念を受け取るか、その方法を示唆することもできます。地面

から植物が芽生えます。あとで話すように、植物は大地の外の宇宙と結びつきます。そして、

ある季節には特に、霊的な流れが、上方の花・果実から下方の根のほうへ、そして地中に

流れてきます。

　また、私たちが目を光に向けるように、根の精霊たちは知覚能力を、植物をとおして上方から

地中に滴ってくるものに向けます。根の精霊たちに滴ってくるものは、光が花のなかに送り

込んだもの、太陽の熱が植物のなかに送り込んだもの、空気が葉のなかにもたらしたもの、

はるかな星々が植物の形態の中に引き起こしたものです。植物は宇宙の秘密を集めて地中

に送ります。植物をとおして霊的に滴ってきたものを、グノーム（土の精）たちはみずからの

内に受け取ります。

秋から冬にかけて、グノームたちは鉱石と岩石をとおって地中を旅するときに、植物をとおして

滴ってきたものを運んでいきます。そのように、全宇宙の理念を地中に流し込みながら、

旅する妖精なのです。私たちは、はるかな宇宙を見上げます。宇宙は宇宙神霊から構築

されています。宇宙は、宇宙理念・宇宙神霊が物質化して現れたものです。グノームたちは

植物をとおして宇宙の理念を受け取り、目覚めた意識で、それを鉱石から鉱石へ、岩石から

岩石へと、地中で運んでいきます。植物はグノームたちにとって、人間にとっての光線と

同じものです。

　私たちは地の深みを眺めます。単に機械的に作用する自然法則についての、抽象的な理念

を地中に探すためではありません。私たちは地の深みを眺めて、そこを散策して旅する

グノームたちを見ます。彼らは地中で、宇宙の悟性を保管する、光に満ちた存在です。

土の精グノームの知　

　グノームたちは、見るものをただちに理解します。確かに人間と同種の知識を持っているの

ですが、彼らは特に悟性的存在です。しかしその悟性は宇宙的なので、「人間の悟性は

不完全なものだ」と見下します。グノームたちは私たちの閉塞した悟性、苦闘する悟性を

笑いものにします。私たちはしばしば、あれこれを理解しなくてはいけませんが、グノーム

たちは熟考する必要がまったくありません。彼らは世界の叡智を見ます。そして人間が

何かに思いいたるために苦労するのを見ると、彼らは特に皮肉になります。

「なぜ人間は苦労して熟考するんだ。わしらは、見るものを全部知っている。人間たちは

熟考しなくてはならないんだから、愚鈍だね」と、グノームたちは言います。

人間がグノームたちに論理について語るとグノームたちは無礼なほど皮肉になります。

「何のために、思考の手順などという無駄なものを、人間は必要とするんだろう。

思考は、ちゃんとそこにあるじゃないか。理念は植物から流れてくる。どうして人間は、

植物の根のように鼻を地中に突っ込んで、太陽が植物に語ることを吸い込まないのか。

そうすれば、人間たちはいろんなことを知ることができるのに。理論によっては、知識の

ほんの一部しか得られないよ」と、グノームたちは言います。……

ルドルフ・シュタイナー著　「天使たち 妖精たち」より

……ついでサラマンダー（火の精）に目を向けましょう。蝶々が死ぬとき蝶々の羽の粉は

消えてなくなるように見えます。「消えてなくなる」というのは、正しくありません。蝶々の羽

から埃のようにこぼれ落ちるのは、最高に霊化された実質なのです。それは地球を取り囲む

＜熱エーテル＞のなかに流れていきます。蝶々の羽から飛び散る粉は小さな彗星のように、

地球の熱エーテルのなかに流れていきます。季節の経過のなかで、蝶々たちが死滅する

時期になると、すべては内的にきらきらと輝きます。この輝きのなかに、サラマンダーが

入っていき、その輝きを受け取ります。

　その輝きはサラマンダーの中で光つづけ、サラマンダーも憧れを持ちます。サラマンダー

は、そのようにして受け取ったものを高みに運びます。そしてサラマンダーが蝶々の羽から

外に運んだものが、宇宙全体に光を放ちます。単に光を放つだけでなく、外に流れていき

ます。それが、高次の天界存在（天使たち）が地球を見たときに、目に映る光景です。

高次の天界存在たちは地球を眺めます。特にサラマンダーに運ばれる蝶々と昆虫を眺め

ます。サラマンダーは、高次の霊界存在の霊眼に自分たちがどのように映るかを感じ取るのを、

最高の快楽とします。高次の天界存在に眺められ、高次の天界存在の霊眼に捕らえられる

ことを、サラマンダーは最高の快楽とします。サラマンダーは高次の天界存在に向かっていき、

高次の天界存在に地球の知をもたらします。……

ルドルフ・シュタイナー著　「天使たち 妖精たち」より