シュタイナーの世界観、人間観 天使論を理解するためには、まず、シュタイナーの人間観、世界観についてある程度知っている必要があります。
この頁でも書いてみようと思ったのですが、「人間」と「宇宙の構造」については、うまくまとめることができませんでした。
「シュタイナー思想入門」（西川隆範著・白馬書房）、「シュタイナー用語辞典 」（西川隆範著・風濤社刊）
「神智学の門前にて」（Rudolf Steiner著・西川隆範訳・イザラ書房）等をお読みいただきたいと思います。
なお、このページ（Angel4）以降には、古来、秘伝とされてきたことも書かれています。つまり当時は、
命を賭して長い間探求重ねてはじめて、少しずつ知ることが許されたような知識についても書かれています。
どうか大切に読んでいただきたいと思います。
人間 今後書く予定です。
宇宙の構造 今後書く予定です
眠り 睡眠中の人間は肉体とエーテル体から、心魂（自我とアストラル体）が分離し、心魂界および精神界（霊界）
に滞在しています。この心魂界、精神界は、生まれる前や死んだ後に体験する世界と同じものです。
睡眠中人間は一日の行いを回顧し、反省してます。また、天使たちと関わりをもちますが
日常の意識ではそのことを意識できません。
アストラル体が半分だけ肉体から離れた状態にあるときに、人は夢を見ています。
死後の生活
死の場合は肉体から、自我、魂体（アストラル体）、エーテル体が分離します。
死の直後、人は数日間かけて、自分が送ってきた一生を見ることになります。
自分が生まれてから死ぬまでの出来事が走馬燈のように現れては過ぎ去っていきます。
これと同様のことは「臨死体験」のさいにも起こることがあります。
この「人生絵巻」は、エーテル体の大部分が宇宙のなかに解消し終えるまで続きます。
ただ、生前自我の働きかけによって高貴になり精神化されたエーテル体の‘果実’は残ります。
その後人間は、自我、アストラル体とエーテル体の‘果実’からなる存在として、魂界に歩み入ります。
「心魂界」では、生前の人生を一度、今度はもっと時間をかけて臨終から逆向きに誕生に向かって
再体験しますが、この時自分を他人の側から見ていくことになります。つまり、自分が人に対して
行ったことを人の身になって体験するのです。自分が人を傷つけたことがあったなら、その人が
感じたのと同じ痛みを体験することになります。
この「魂界」を通過する際に行われる浄化には地上の人生の1／3の時間を要します。
これは生きているときに睡眠に費やされたのと同じ時間でもあります。
この魂界通過を、今度は空間的な観点から見ていきたいと思います。
死後魂界に歩み入った人間は、まず、
低次の魂界である「月領域」で、肉体を通して得られる物質的な享楽や、感覚的な喜びへの執着を
消し去ることになります。死後、人は肉体を持たないので、そのような欲求を満足させることが
できず、苦しみを体験することになります。特に物質的なものへの欲望や執着が大きかった人は、
この領域を通過するのに多くの時間を要し、燃えるような苦しみを味わうことになるそうです。
しかし、この過程は地上から解放され、浄化されるために必要なのです。
魂界の「水星領域」では、感覚界の美への愛着や、快適な生活環境をつくり出そうとする
努力のうち、感覚的な満足が動機であったものが捨て去られ、浄化されます。
この領域で孤独に過ごすか、仲間を見いだせるかどうかは生前の道徳性によって決まるのだそうです。
魂界の「金星領域」では、知的な興味を動機とした学問研究、面白さを動機とした芸術活動
への欲求などが浄化されます。それらは利己的欲求より高次のものですが、感覚的なものと
結びついているためにこの領域で浄化されるのです。また、この領域では、同じ宗教、
信条の人たちと出会います。
「太陽領域」においては、他の信条の魂と結びつき、他の信条についても理解するようになります。
この領域で人間は、物質への執着をすべて払い落とし、魂（アストラル体）は魂界のなかに解消されます。
ただ、このとき、魂のすべてが自我から切り離されるのではなくて、生前自我の働きかけによって
高貴になり精神化された魂（アストラル体）の部分は、自我と一緒に精神界に入っていきます。
精神界（神界・霊界とも言う。キリスト教でいう「天国」）は地上と魂界に存在するすべての事物や生物の「源像」
が存在する世界です。「源像」はプラトンの言うイデアのようなものだと言うことができます。
この領域では「天球の音楽」が鳴り響いています。
精神界の「火星領域」は、精神界の大陸部分と呼ぶことのできる領域で、地上の鉱物の「源像」や
人間の物質的身体を構築した「源像」が存在します。死者はこの領域で、地上で身近だった人たちに
再会することになります。
精神界の「木星領域」は、精神界の海や河川、あるいは血液とも呼ぶことができる領域で、
地上において生命として現れているすべてのものの源像が淡紅色に流れています。
宗教のなかに仰ぎ見ていた調和が、この領域で体験されます。また、同じ信条によって
結びついていた人たちと再会することになります。
精神界の「土星領域」は、精神界の大気圏と呼ぶことができます。地上や魂界における、魂のいとなみの
精神的源像が存在しています。人間が抱く感情はここでは、天候として現れています。
また、地上の人間が育む友情や愛情は、この領域に「栄養」を与え、豊かなものにするそうです。
つまり地上の人間は「天国」に影響をあたえているのだそうです。
死者は、この領域に社会、隣人のために献身的に働いたことの果実をもたらし、
その果実に応じて、より大きな献身の能力を身につけます。
精神界の「黄道十二宮領域」には、創造の力が生きています。
科学、学問、芸術などの霊感はこの領域で獲得されます。
これらの領域を通って、人間はさらに高次の領域へと上昇していきます。
先に、人間（自我）はエーテル体と魂体の‘果実’を、精神界にたずさえていくと書きましたが、この‘人生の果実’は、精神界という畑に撒かれた種子のように、周囲（精神界・原像の世界）から
素材や力を受け取り成長、発展していきます。精神界には人間の物質体を構築している「原像」、
エーテル体やアストラル体を構築している「原像」が存在します。これらの原像の力が人間のなかに
流れ込んできます。人間は前世の成果（果実）に応じたかたちで「原像」の力を自分のなかに取り入れ、（注１）
来世に向けて自分自身を再構築します。この過程は人間と、精神界にいる様々な位階の天使たち
との共同作業として行われます。
このプロセスを別の側面から見ると次のように言うこともできます。
精神界で人は、自分が輪廻転生を通してどのように進化してきたのか、この人生の経験を
経る前の自分はどうであり、この人生の経験によって自分はどのように成長したかを見ることに
なります。そして前世よりもより一段高次の来世の身体をイメージします。自分の身体を
イメージするのは、来世の自分の課題を果たすために相応しい身体を準備するためです。（注２）
自分の新しい身体のイメージを自由に形成することに、人間は存在を生み出す至福を感じると言います。
また、人間は精神界で、生前関わりを持った人々に再び出会いますが、精神界滞在中のある時点で、
自分が生前他の人たちに負担をかけていた事柄と、その人達が自分に負担をかけていたことがらをはっきりと
見ることになります。いろいろとやり直したいこと、悔やむことが出てきます。そして再び地上に生まれた
ときになんとかして、その償いをしたいという衝動が生じてきます。前世でできなかったことを償い、
そうすることで人生をよい方向に持っていこうとするのです。
このようにして人間は、来世の課題をどのように実現するかについて精神界で「考え」、来世の運命
カルマ（業）が準備されます。
神秘思想になじみのない方には、にわかには信じがたい話だと思いますが、「死者たち」は、自分自身のことにかかわり合うだけでなく、精神界から地上の世界の改造のために働きかけている
そうです。人間は、精神界で自分のためだけに生きているのではなく、地上で思考する人たちに
ひらめきや着想を送り込んだり、天使たちの指導のもとに、地上の動物、植物、鉱物を変化させ、
それによって地球の様相を変化させるという仕事にも従事しているそうです。
死後人は、天使、大天使、権天使やさらに高次の位階の天使たちに出会います。
様々な位階の天使たちに導かれて、死後の世界を歩んで行きます。カルマの形成も、人間と天使たち
との共同作業によって行われます。しかし、生きているときに理想主義的な感情や思考、
「人間愛」をあまり持たなかった人や、天界について考えなかった人は意識が暗くなり、
天使たちを見ることができず、孤独だと言います。
死後の生活を終えて再び地上に生まれるまでに、普通は約1000年かかるといいます。それには、長い年月の後、地上の様子が変わってから再受肉することによって、前世と違う経験をする
という意味があるそうです。ただ、この周期については例外も往々にして存在するとのことです。
受肉に向かって魂界を下降して行くときに、人間の自我は新しいアストラル体、エーテル体を身に纏います。
この時、受肉の直前に来るべき人生のおおまかな概略を前もって見ます。
そして、来世での自分の課題、目的を達成するためにふさわしい、特定の民族、両親のもとに引き寄せ
られます。地上に下る人間自身が両親を探し、選ぶということもできます。
ですから、よく世間の人が「親を選ぶことはできない」というのは、正しくないそうです。
（注１）りんごの種からはリンゴの木しか生えず、カボチャの種からはカボチャしか生えないように、人生の‘果実’によって、来世の運命が決まってくると言えます。（ただ、人は運命に翻弄されるだけではなく、
自分の意思によって新たに運命を作って行くことができる存在であると、わたしは思っています）
（注２）この過程は、家を建て直す人が、古い家に住んでいたときの使い勝手をよく考えた上で、これからの
生活のために最も適した新しい家を設計するということに喩えられます。つまり、前世の自分について
反省したうえで、自分という人間を、気質、感情、思考能力なども含めて設計し直すわけです。
宇宙と人間の進化 …限られたスペースでは理解可能な説明が困難なので、「神智学の門前にて」、「神秘学概論」、「アカシア年代記」、
「シュタイナーの宇宙進化論（西川隆範著）」などを読むことをお勧めします。
参考文献 ・シュタイナー用語辞典 （西川隆範著・風濤社刊）
・神智学の門前にて（Rudolf Steiner著・西川隆範訳・イザラ書房）…はじめて読まれる方にもおすすめです。
・死後の生活（Rudolf Steiner著・高橋巌訳・イザラ書房）
・神智学（Rudolf Steiner著・高橋巌訳・イザラ書房）
・神秘学概論（Rudolf Steiner著・西川隆範訳・イザラ書房）
・シュタイナー思想入門（西川隆範著・白馬書房）
他