百科事典に書かれているようなこと 天使とは、一般には神に仕え、神と人間とを仲介する霊的存在のことで、
ギリシア語で angelos は使者の意味です。
ユダヤ・キリスト教以前には、ゾロアスター教や仏教でも天使の存在を認めていますし、
中間者としての天使の観念は多くの未開宗教にも見られます。
ペルシアのゾロアスター教では、神アフラ・マズダーの持つさまざまな力を分有する
７人の天使がいます。仏教の浄土には、自由に飛行する天人、閻魔王の天使などが
いるといわれています。
旧約聖書に登場する天使には、エデンの園の東で生命の木をへの道を守っている
ケルビムや、預言者イザヤが見た、六つの羽を持つセラピムなどがいます。
マリアに受胎告知をしたガブリエルや、天で龍と戦うミカエルが出てきます。
イスラム教では、マホメットに「コーラン」を伝えたとされる、ジブリール（ガブリエル）
をはじめとしてミーカーイール、アズリール、イスラフィールの緒天使が四天使とされ
とくに重要な位置を占めています。
その後キリスト教世界では偽ディオニシウス・アレオパギタ（６世紀ころ？）が「天上位階論」を著し、
９段階の天使たちを「上級三隊、中級三隊、下級三隊」に分類しました。
上級三隊は、熾天使、智天使、座天使、中級三隊は主天使、力天使、能天使、
下級三隊は権天使、大天使、守護天使です。
彼の著作は９世紀にヨハネス・スコトゥス・エリウゲナによってラテン語に翻訳され、
広く読まれました。ビザンチンの教父たちや「神学大全」の著者トマス・アクィナス、詩人のダンテ
にも大きな影響を与えました。カトリックでは、アレオパギタの分類による天使の９つの位階と
名称が権威あるものとされてきたのに対し、プロテスタントでは、
天使についてはあまりかえりみられなかったようです。
18世紀のスウェーデンの科学者、神秘思想家スウェーデンボルイは生きながら霊界を見てきたと
言われ、天界と地獄の諸相について膨大な著作を残しております。
かれは天界には霊的王国と天的王国が存在していると述べ、
霊的王国の住人である霊的天使と、純真無垢な愛において優る天的王国の天的天使について
書いています。彼の思想も大変興味深いのですが、ここでは詳しく触れません。
ギリシア神話、ヒンドゥー教、神道などの神々、仏教の菩薩や如来も、
一種の天使といえるかもしれません。天界や天使が実在すると考えた場合、
キリスト教のある位階の天使と仏教の菩薩や如来が同じ存在、
ということもあり得ると思います。